いつしかついて来た犬と浜辺にいる

気になる事件と考えごと

ジャック・ウンターヴェーゲルについて【ウィーンの絞殺魔】

“ウィーンの絞殺魔”の異名でオーストリアの「シリアルキラーとして知られている」、ジャック・ウンターヴェーゲル(1950-1994)について記す。 ■生い立ち ヨハン・ジャック・ウンターヴェーゲルは、ウィーンのウェイトレスと見知らぬ米兵との非嫡出…

リチャード・ラミレスについて【ナイト・ストーカー】

“ナイト・ストーカー”の異名で知られるアメリカのシリアルキラー、リチャード・ラミレス(1960~2013)について記す。

エリサ・ラム事件について

2013年に起きたエリサ・ラム(藍可兒)の怪死事件について。 もしかするとその若いカナダ人女性の死因や経緯には本来“事件”と呼ぶべき要素は含まれていなかったかもしれない。しかし、今世紀、世界中で最も繰り返し検索され、言及され、検証され続けてい…

ノワールへの憧憬—ブラック・ダリア事件について

カルフォルニア州ロサンゼルスで発生し、70年以上を経た現在も語り継がれる戦後アメリカの象徴的な猟奇殺人ブラック・ダリア事件について

埼玉朝霞少女誘拐監禁事件について

2014年に埼玉県朝霞市で発生した女子中学生の誘拐および約2年に渡る長期監禁事件について、事件の風化阻止と防犯啓蒙の目的で記す。 尚、少女を狙った略取誘拐(連れ去り)・監禁事例について、過去エントリーでも取り扱っているので比較参照されたい。…

新潟少女監禁事件について

1990年に新潟県三条市で発生した未成年者略取(連れ去り)および2000年まで柏崎市で続けられた長期監禁、通称・新潟少女監禁事件について記す。 略取・監禁は、言うまでもなく卑劣かつ被害者の人権を蹂躙する許すまじき蛮行であり、生還してもなお被…

東京豊島区女子高生誘拐事件【籠の鳥事件】

1965年に東京都豊島区内に発生した女子高生誘拐および“飼育”とも表現される半年間の同棲生活を続けた事件、通称“籠の鳥事件”について記す。 ■事件の発生 1965年11月25日の夜、東京都豊島区の共栄女子商業高校に通う3年生・Aさん(17)は、西…

トリニダード・トバゴと長木谷麻美さん事件について

2021年3月19日、トリニダード・トバゴの未解決事件捜査班(TTPS)は、16年にクイーンズパークサバンナで遺体となって発見された日本人スティール・パン奏者・長木谷麻美さんの事件について捜査の終結を発表した。 www.guardian.co.tt 本稿は、トリ…

マイソールの黒熊/ペトロパブロフスク羆事件/秋田八幡平クマ牧場事件

本稿では、インド「マイソールの黒熊」、ロシア・カムチャッカ半島で起きた「ペトロパブロフスク羆事件」、「秋田八幡平クマ牧場事件」ほか、熊によるいくつかの襲撃事件などを見ていきたい。 近年、日本国内では熊の遭遇事案は増加傾向とも言われ、被害防止…

【この人は誰?】千丈寺湖殺人死体遺棄事件【青野ダム】

2011(平成23)年2月14日、兵庫県三田市の千丈寺湖でコンクリート塊の中から人間の頭部の骨が発見された。 www.police.pref.hyogo.lg.jp 朝10時45分頃、釣りに来ていた男子高校生(16)が、岸辺にランドセル大のコンクリート塊を見つけ、中か…

福岡大ワンダーフォーゲル部羆事件/クリル湖襲撃事件

■福岡大学ワンダーフォーゲル部羆事件 1970(昭和45)年7月、北海道日高山脈カムイエクウチカウシ山で発生した羆襲撃事件で、犠牲となった3名は福岡大学ワンダーフォーゲル同好会(のち部に昇格)に所属していた。 (Wandervogelはドイツ語で渡り鳥…

札幌丘珠羆事件・石狩沼田幌新事件

野生の熊は警戒心が強いため遭遇する機会こそ少ないが、テリトリーを侵害されたと感じたり、仔熊を守るといった習性から、むやみに人が接近すれば危害に及ぶ。また一度、食害に味を占めてしまった個体は好んで人を狙うおそれもあるとされる。 前回のエントリ…

三毛別羆事件について

漫画『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎は強敵・猗窩座(あかざ)との死闘の最中、病死する十日前に父・炭十郎が巨大熊と闘った夜のことを回想する。 山向こうで6人を襲った“人食い熊”が家に接近していることを察知した炭十郎は、夜の雪山に幼い炭治郎を連れ…

漂着する足のミステリー【セイリッシュ海】

2007年8月20日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州にあるジェデディア島へ訪れていたアメリカ・ワシントン州の少女が海岸を散歩中に大きな靴を見つけた。 白と青のランニングシューズでサイズは12(30cm)、中には靴下と腐敗した人足の残骸が…

【つけびの村】周南市連続殺人放火事件について

2013年に山口県周南市にある山間の集落で発生した連続殺人・連続放火事件について、すでに犯人が逮捕され死刑が確定した事案だが、風化阻止の目的で概要や所感等を記す。 また本件を主題とした高橋ユキ氏によるルポ『つけびの村』のレビューも付記する。…

島根県隠岐の島『蟹淵と安長姫』について

島根県隠岐諸島は最大の島・島後(どうご)。その北部にある隠岐の島町中村の元屋(がんや)地区には、次のような民話が残されている。 昔々、この村に1人のきこりがいました。 この川の奥に入り、淵の後ろの山で木を伐っていました。 つい誤って、斧を淵に…

5都府県連続強姦・放火事件について

1998年ごろから2003年にかけて5都府県で起きた単独犯による女児への強姦(未遂)および連続放火事件について、加害者はすでに逮捕・服役中の事案であるが、風化阻止・予防啓発を目的として概要や所感などを記す。 また「女児強姦」「放火」はともに…

韓国三大未解決・カエル少年事件について

1991年、大韓民国・大邱(テグ)市で起きた男子小学生5人の失踪事件、韓国三大未解決事件のひとつとされる通称“カエル少年事件”について記す。 尚、筆者はハングル語を解さないため、誤記や誤訳が生じるおそれがある。調べて書く行為を通じて文化理解を深める…

倉敷市老夫婦殺害放火事件について

1995年、岡山県倉敷市児島で起きた老夫婦殺害および放火事件について、風化阻止の目的で概要等を記す。また関連事項として死体損壊(いわゆるバラバラ殺人)や公訴時効についても触れる。 事件当時に不審行動を見かけた、事件後に関与をほのめかしていた人物…

茨城県美浦村女子大生殺害事件について

2004年、茨城県美浦村で起きた女性殺害死体遺棄事件、いわゆる茨城女子大生殺害事件について、風化阻止の目的で概要等について記す。 尚、本件は加害者3名のうち2名が検挙されている。主犯格とされる男性はすでに無期懲役で服役中。もう一人の元少年(当時18…

愛知県蟹江町母子三人殺傷事件について

2009年に愛知県蟹江町で起きた母子殺傷事件について、風化阻止の目的で事件概要、犯行までの経緯、裁判などについて記す。 尚、本件では単独で中国籍の元留学生・林振華(りん しんか、リン・ジェンホア)が逮捕・起訴され、すでに死刑判決を受けており、202…

肝を潰せ!Netflix映画『ザ・コール』感想【ネタバレ】

Netflixで配信されているサスペンス映画『ザ・コール(콜、THE CALL)』(2020、韓国、1時間52分)について、内容+感想など徒然なるままに記します。一言でいえば、 胸糞映画ファンにはたまらない刺激に満ちた傑作なので万が一見ていないのなら「読む前に見…

『悪魔の詩』訳者殺害事件とイラン革命について

本稿では、1991年に発生した茨城県・筑波大学構内で起きた助教授殺害事件、通称“『悪魔の詩』訳者殺人事件”を取り扱う。 本件では「イスラーム思想」「イラン革命」に絡む思想犯罪の可能性が指摘されており、状況的に見てもそれ以外のケースを考察することは…

富山県「人形山」の民話について

前回取り挙げた富山県砺波地方に伝わる「ヒンナ神」について調べていたところ、砺波の南に位置する飛騨高地の北部、現在の富山県南砺市五箇山から岐阜県白川村にまたがる「人形山(にんぎょうざん)」に伝わる民話を目にしたので今回はそのお話を。 尚、人形…

「ヒンナ神」「雛」「鐘馗」について

■ヒンナ神について ヒンナ神とは、富山県砺波地方に伝わる憑物の一種とされ、同地出身の郷土史家・佐伯安一氏が『礪波のヒンナ神』(1949)、『礪波民俗語彙』(1961)などにその伝承を記している。 ヒンナ神を祀ると、祀った者の欲しい物をすぐにもたらすとされ…

相模原市・津久井やまゆり園殺傷事件について

2016年7月に発生した相模原市障碍者福祉施設殺傷事件、通称“津久井やまゆり園事件”は、2020年3月に植松被告の死刑が確定し、事件裁判としてはひとつの区切りを見た。本事件はその規模も深刻甚大ながら独自の信念に基づいたテロリズムともいえる犯罪ケースで…

埼玉・千葉連続通り魔事件(2011)について

[2021年5月9日加筆修正。2020年12月に投稿したものだが、捜査の進展から内容を修正する。事実内容だけでなく、当時の報道および筆者の見解などが含まれる] 2020年11月20日、埼玉県三郷市鷹野4丁目の自宅に硫黄約45キロを貯蔵し、危…

エクソシスト映画『ザ・ライト』『エミリー・ローズ』感想

過去エントリー『異端の歴史と魔女狩りについて』では、キリスト教、ローマ・カトリックから見た異教徒・異端者の変遷を扱った。 古代ギリシア哲学においてデーモン daemonはそもそも天啓・インスピレーションのような観念であり、人に善き道を示すデーモン…

山形県飯豊町一家殺傷事件について

2006年5月7日未明、GW最終日。山形県西置賜郡飯豊(いいで)町のカメラ店を営む伊藤信吉さん(60)方に刃物を持った男が押し入り、伊藤さんと長男・覚さん(27)が胸などをメッタ刺しにされ間もなく死亡。信吉さんの妻・秀子さん(54)も鉄パイプのようなもので殴ら…

座間男女9人殺害事件について

事件発覚から約3年、現在公判中の通称・座間男女9人連続殺害事件について、風化阻止の目的で事件の概要と個人の感想を記しておきたい。 2020年9月30日、東京地裁立川支部において白石隆浩被告の公判が開始され、同被告は「起訴状の通り、間違いありません」…