やっぱり今年の夏も暑そうだ!という訳で、本当は夏じゃなくてもオススメしたいサイコホラー、サスペンス映画を中心に18作品ご紹介。
ホラー映画でも色々ジャンルがあると思いますが、本稿ではヒトコワ(人怖)ジャンルを中心にゾクッとできるメジャータイトルを挙げていきます。
良識のタガが外れたサイコ系、胸糞映画のずっしり感、“嫌ミス”のように精神的なダメージの大きい後味最悪な作品が含まれるので、苦手な人や健康に不安のある方は絶対に見ないでくださいね(私は言いましたよ…言いましたからね…)。
ひんや~り涼しくなるか、イヤ~な汗をかいて寝苦しい夜を過ごすかはあなた次第!
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『イット・フォローズ』(2014・アメリカ)
監督・脚本・デビッド・ロバート・ミッチェル(『アメリカン・スリープオーバー』)
出演・マイカ・モンロー、キーア・ギルクリスト、ダニエル・ゾヴァッド、オリヴィア・ルッカルディ
“8Mile St.”を越えると荒れ果てた郊外というデトロイトを舞台にした青春ホラームービーの優等生。
「セックス」による感染といえば、エイズ・メアリーの都市伝説やアメリカ人ジャーナリスト・マイク・ウィナーが著したとされる“Bienvenue dans Le Monde du SIDA !(エイズの世界へようこそ)”が知られており、一見すると本作もそうした感染ホラーの系譜であるかのように思われる。だが監督自身はそれを否定しており、こどもの頃に見たとにかく“It”がしつこく追いかけてくる強迫神経症的な“悪夢”が構想のきっかけだとしている。
この映画が描こうとしているのは我々の人生の縮図なのだと気づいたとき、本当の恐怖を思い知らされる。
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『冷たい熱帯魚』(2010、日本)
1993年に起きた埼玉愛犬家連続殺人事件をベースにしたヴァイオレンスホラー。映画では熱帯魚店を営む村田夫婦が気弱な気弱な社本を巧みな話術で手繰り寄せ、一家を暴力で浸食しボディを透明にしてしまう。
本筋とは外れてしまうが、2013年に京都蓮久寺住職・三木大雲さんによる怪談説法『修業時代の怖い話』も同じ事件をテーマにしており、併せてご賞味いただくとよろしいかと思う。
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『凶悪』(2013、日本)
監督:白石和彌
脚本:高橋泉(『ソラニン』『東京リベンジャーズ』)、白石和彌
原作:新潮45編集部編『凶悪-ある死刑囚の告発-』
こちらは2005年に『新潮45』が獄中の凶悪犯罪者のひとりから“先生”と呼ばれる首謀者に関する告発から取材を進め、全容が明るみとなった茨城上申書事件をベースにした社会派サスペンス。
師・若松孝二の遺志を継いで「映画を武器に」する術を持った白石監督が、ピエールとリリーという元々親交のある友人同士を、凶悪な共謀関係へと転じる優れた演出手腕を発揮している。
『冷たい熱帯魚』のでんでん、西川美和監督の『ディア・ドクター』(2009)で闇のある村医者を好演した笑福亭鶴瓶などに思うが、異ジャンルのイメージからかけ離れた演技を引き出されると強烈なスパイスになる。
筆者は未見ながら、同監督・同脚本・ピエール・リリーが再結集した佐世保小6女児同級生殺害事件(通称“ネバダちゃん”事件)からインスパイアされた作品『サニー/32』(2018)も気にならずにはいられない。
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『ミッドサマー』(2019、アメリカ・スウェーデン)
監督・脚本:アリ・アスター(『ヘレディタリー/継承』)
出演:フローレンス・ビュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター、ウィリアム・ジャクソン・ハーバー
事故で家族を亡くして塞いでいた大学生のダニーは、恋人や研究室の友人らと5人でスウェーデンの人里離れた村・ホルガに訪れ、90年に一度行われる夏至の祝祭に参加する。独特の風習や異教の儀式に、次第に彼らも取り込まれていく。
“華やかで”“明るい”異色のフォークホラー(異教、自然崇拝の伝承に由来する民俗的ホラー)でビジュアル的方向性は異なるものの、土着的・宗教的な匂いから北欧版『ウィッカーマン』とも称される。一部の儀式には姥捨てに近い内容もあり、“明るい人々”のおそろしさは現代カルト宗教などにも密接にリンクする。
『ヘレディタリー』と本作で成功を収めた奇才アリ・アスター監督は、20世紀初頭のチリを舞台にしたストップモーションアニメの製作総指揮を務めており、公開が待たれるところ(2021年7月現在)。それまで何度となくホルガの祝祭を楽しむとしよう。変態カップルにオススメです。
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『ドント・ブリーズ』(2016・アメリカ)
脚本:ロド・サヤゲス(『死霊のはらわた』『ハッパGoGo』)、フェデ・アルバレス
出演:ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾヴァット、スティーブン・ラング
あまりの緊張感に吐き気を催すほどの屋内サバイバルスリラーの傑作。トイレに行きたいのを我慢しながら見ると尚良しです。
8月13日より続編が日米同時公開!
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『ファニーゲーム』(1997、オーストリア)
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ(『ピアニスト』『愛、アムール』)
出演:スザンヌ・ロタール、ウルリッヒ・ミューエ、アルノ・フリッシュ、フランク・ギーリング
もはや“胸糞”バイオレンスの金字塔とも言える名作。
理不尽さ、観客への挑発的メタ表現、「虚構は現実」という言葉の意味が、今日の日本のモラル崩壊でますますリアリティを持って感じられる。
銃乱射や集団リンチ事件などの加害者心理とは、実際こういった“意味などもたないもの”なのではないか。
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『ドッグ・ヴィル』(2003・デンマーク他)
監督・脚本:ラース・フォン・トリアー(『イディオッツ』『アンチクライスト』)
出演:ニコール・キッドマン、ポール・ベタニー、ローレン・バコール
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)で国際的評価を高めたトリアー監督は、アメリカ三部作の一作目としてより野心的実験とも言える今作を発表し、世界を驚かせた。
ときは大恐慌時代、ギャングに追われる謎の女グレースが鉱山町ドッグヴィルに流れ着き、指導者的立場を目指すトムが人々を説き伏せて密かに匿うようになる。グレース自身も善人であることを認めてもらうために人々の細々とした雑用を受け入れ、やがて信用を得、町に彼女の居場所(小屋)が設けられる。しかし警官がグレースを「捜索者」ではなく「おたずねもの(指名手配)」とするポスターを貼りに町を訪れたことで、町での彼女の立場はよりシビアなものへと変化していく。
床に線を引いただけの実験的な舞台装置を用いる環境要因の不可視化によって、映画的虚構を最低限にまで排除し、人間そのもの、各人に宿る善性にフォーカスし、村落共同体のもつ排他性や暴力性、人間の強欲さを描出することに成功した。耐性がある方には2000年代後半からの鬱三部作(『アンチクライスト』『メランコリア』『ニンフォマニアック』)もおすすめしたい。
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『ブラック・スワン』(2010・アメリカ)
監督:ダーレン・アロノフスキー(『π』『レクイエム・フォー・ドリーム』『マザー!』)
脚本:マーク・ヘイマン、アンドレス・ハインツ、ジョン・J・マクローリン
出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー
『レスラー』と姉妹編となる情熱と狂気、美と妄想に満ち溢れた官能的サイコスリラー。ロマン・ポランスキー映画や、監督が尊敬する今敏監督の『パーフェクトブルー』のような強迫性神経症や解離障害的な不安を正攻法で描き尽くした傑作。
個人的には『累-かさね-』とも設定がよく似ており、こちらも芸能の場における自己同一性の不確かさ・あやうさを味わうことができる。
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『嫌われ松子の一生』(2006・日本)
こちらはホラーでもサスペンスでもなく、タイトル通り、ただただ松子の転落人生をファンタスティックなミュージカル調の過剰演出で駆け抜ける怒涛の悲喜劇(?)だが、個人的にはサイコムービーとして挙げさせていただきたい。
中島監督は「松子に会いたくてつくった」と言い、中谷は「この役を演じるために女優を続けてきたのかもしれない」と語った奇跡の共作。その撮影手法は演技指導というよりモラハラによる洗脳にも近かったと想像される。
人によっては突飛すぎて「イミフ」な作品かもしれないが、筆者は言葉にならない感情が溢れ、ほとんど全編号泣し通しで一種のパニック(バッドトリップ)に陥っていたのかもしれない。もう二度とあんな感情に襲われたくない(けどまた味わいたい!)というドM的な意味では、もはや和製『ダンサーインザダーク』と言っても過言ではない。
松たか子の強靭な胆力が発揮された『告白』(2010)、小松奈々を天使のようなファム・ファタルへと昇華させた『渇き。』(2014)、日本ホラー大賞で満場一致の最高評価を受けた澤村伊智原作を基にした『来る』(2018)など、観客の感情をぐちゃぐちゃにする問題作を生み出し続ける監督こそが一番のホラーかもしれない。
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『JOKER ジョーカー』(2019、アメリカ)
監督:トッド・フィリップス(『ボラット』『ハングオーバー』)
脚本:スコット・シルバー(『8Mile』『ザ・ファイター』)、トッド・フィリップス
出演:ホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツ、フランセス・コンロイ
バットマンの宿敵ジョーカーの誕生を描いた本作では、R15指定の娯楽大作ながらヴェネチア国際映画祭金獅子賞を獲得しアートフィルムとしての高い評価も得た。
主人公は街頭で客引きピエロをしながらコメディアンを目指す貧困層のアーサー。物語の骨格を『タクシー・ドライバー』へのオマージュとしつつ、アーサーがいつか出演をと夢見る人気TVショーの司会者役をデ・ニーロが演じるという配役も心憎い。
感情が昂ると悲しくても怒っていても“put on a happy face”という母の教えが強迫神経症となって“笑い袋”のように現れるという複雑な表現、そして自己崩壊とJOKERとしての自我の創生をホアキン・フェニックスが見事に演じている。
暴力表現はまた別の暴力を引き起こすトリガーになる。2012年『ダークナイトライジング』公開の際、コロラド州の劇場では銃乱射事件が発生し、死者12人と多数の負傷者を出す大惨事となった。ゴッサム市民の暴動はかつての「99%」デモやQアノン勢力を彷彿とさせる場面も多く、アーサーが悶え苦しんできた社会こそリアルに感じられ、JOKERフォロワーや予備軍は現在の日本にも無数に存在するように感じる。バットマンやアメコミヒーローたちが存在しない現実社会こそホラーではないかと悪寒が止まない。
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『オーディション』(1999、日本)
原作:村上龍『オーディション』
7年前に妻を亡くしたビデオ制作会社社長・青山が友人・吉川に再婚の相談をしたところ、映画のオーディションと称して応募者から相手を探してはどうかと提案されるというストーリー。
ゴア描写にも定評のある三池崇史監督によるJホラー。ポリコレ的に現在では映像化不可能。元妻役の松田美由紀と“ヒロイン”椎名英姫の面影も絶妙にそっくり。
『世にも奇妙な~』テイストのユルい表現や『黄昏流星群』のようなご都合主義的展開も随所にあるが、みるみる想いを募らせていく青山の胸中よろしく加速度的にホラー展開になるのでご安心を。
ロッテルダム国際映画祭で記録的な数の途中退場者を出し、2007年のTIME誌オールタイムベストホラーにも選出されるなど国際的にも高い支持を集める名作である。
Audition | Happy Halloween: The 25 Best Horror Movies of All-TIME | TIME.com
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『ジョニーは戦場へ行った』(1971・アメリカ)
監督・脚本・原作:ダルトン・トランボ(『ローマの休日』『スパルタカス』等脚本)
出演:ティモシー・ボトム、キャシー・フィールズ
1939年に出版した原作小説は反政府文学として度々発禁処分となり、共産党員であったダルトン自身も第2次大戦後「赤狩り」の対象とされ、長く偽名での活動を余儀なくされた人物として知られている。
戦争がもたらす人的災厄によって反戦的メッセージを訴えるとともに、四肢と目鼻口を失い、モールス信号での会話しかできなくなった主人公はいわゆる“植物状態”の人間の人権や今日で言う“尊厳死”問題にも接続される内容になっている。
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『ゴーンガール』(2014、アメリカ)
監督:デヴィッド・フィンチャー(『セブン』『ファイト・クラブ』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)
原作・脚本:ギリアン・フリン(『KIZU -傷-』『ダーク・プレイス』『ロスト・マネー 偽りの報酬』)
2002年、アメリカ・カルフォルニア州で起きたレイシー・ピーターソンさん失踪事件がモデルとされた作品。美男美女カップルで夫スコットへの同情的な報道により国民的注目を集めたが、夫の不倫や借金などが次々と発覚すると一斉にバッシングの過熱報道へと転じ、当初は擁護していたレイシーの両親が記者会見でスコットへの信頼を撤回。
翌年、変わり果てた姿でレイシーとお腹の中にいたこどもが入り江で発見され、妻の失踪当日に釣りに出掛けていた夫スコットが逮捕される。状況証拠の多くはスコットによる殺害を感じさせたものの、殺害の確たる証拠となるものはなかった。裁判では陪審長の交代や陪審員の解任などもあったが、2005年に死刑判決が下された。しかし2020年8月、州最高裁は、死刑反対の陪審員の解任もあり「量刑判決に誤りがあった」として死刑を撤回。
男が望んだ結婚生活、夫が愛した妻とはどんなものだったのか。恋人や夫婦関係の理想と現実を観客に問いかける脚本も高い評価を受けた。
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『残穢(ざんえ) -住んではいけない部屋-』(2016・日本)
監督:中村義洋(『ゴールデンスランバー』『白ゆき姫殺人事件』『予告犯』)
脚本・鈴木謙一(『仄暗い水の底から』『アヒルと鴨のコインロッカー』『殿、利息でござる!』)
『リング』(1998)で映画デビューを果たした竹内結子が心霊に懐疑的な小説家=「私」を演じ、橋本愛演じる大学生の「久保さん」が暮らすマンションの部屋で起こる怪異の謎を追ううちに思わぬ事実が次々と明らかになっていくストーリー。観客の想像力に訴えかける正統派のJホラーサスペンス。
中村監督は『本当にあった!呪いのビデオ』シリーズのディレクターをしていたこともあって見せ方も秀逸。身の回りで起きていることの全てにその因果があるのではという強迫観念に囚われていく恐怖的快感はJホラー史上随一ではないかと思います。横溝やリングのような因習ものが好きな方や「事故物件映画なんて物足りないよ」という人にオススメ。
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『ホステル』(2005、アメリカ・チェコ)
監督・脚本:イーライ・ロス(『ノック・ノック』『グリーン・インフェルノ』)
出演:ジェイ・ヘルナンデス、デレク・リチャードソン、エイゾール・グジョンソン
アメリカからやってきた大学生パクストンとジョッシュはヨーロッパ各地を旅するバックパッカー。途中で知り合ったアイスランド人のオリーと共に、夜な夜な女性の尻を追いかける放蕩の日々を楽しんでいた。偶然知り合った人物にスロバキア郊外の田舎町に「外国人好きの女が大量に居る」と言われ、ホステル(中長期滞在者向けの安宿)を紹介される。早速シェアメイトと良い仲になり浮かれていた3人だったが、翌朝オリーが別のアジア人女性旅行者とチェックアウトしたことを知らされる…
序盤から積極果敢なセクシー描写の連続、監督本人や三池崇史がカメオ出演していたりとサービス精神旺盛なスプラッター・ホラー映画。自分探しの旅がしたい、金も目的も学もないのに留学したいと言ってきかないティーンを黙らせるためにまずオススメの一本だ。
実際に外国人旅行者や留学生を狙う魔の手は確実に存在しており、悲しい事件も実際に多数起きている。管理売春同様、「Elite Hunting」なる商売が存在しても何ら不思議はない。
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『恐怖の足跡』(1962、アメリカ)
監督・脚本:ハーク・ハーヴェイ(『ザ・デイ・アフター』『マーダー・オルデインド』)
出演:キャンディス・ヒリゴス、フランシス・フェイスト、シドニー・バーガー、アート・エリソン
カンザスの田舎町で若い女性3人を乗せた車が橋梁から猛スピードで川へ転落。捜索隊も生死を諦めかけたところに奇跡的にメアリーが一人だけ生還し発見される。心を閉ざしたメアリーは心機一転のためユタ州ソルトレイクシティへと移り住み、パイプオルガン奏者として職を得る。しかし町に近づくと幻聴や白い顔の男の幻覚に襲われるようになる。そして、なぜかメアリーはかつてレジャー施設だったという湖岸の巨大廃墟に興味がひかれていく…
今作を見たジョージ・A・ロメロが触発されて『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)を撮り、デビッド・リンチ『ツイン・ピークス』(1990)、エイドリアン・ライン『ジェイコブズ・ラダー』、M.ナイト・シャマラン『シックス・センス』(1999)など現代の映画作家たちにも多大な影響を与えている不朽の名作ホラー。
神経症的な心理描写と不協和音を奏でる音楽、窃視的アングルや陰影や鏡による演出など様々な技法が用いられ、古臭さは全く感じさせない。多くのホラーファンにとって母なる作品といえよう。 教育用産業映画制作を専門にしていたハーヴェイ監督による自費制作作品で、自身で白顔男を演じている。
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『ライトハウス』(2019・アメリカ)
監督・脚本:ロバート・エガース(『ウィッチ』)
共同脚本:マックス・エガース
2021年7月現在公開中のこちらも強烈。デビッド・リンチ監督の描く幻惑体験や刺激的なカルトムービーしか体が受け付けないという方におすすめ(100人中2~3人におすすめ)。
1890年、ニューイングランドの絶海の孤島に訪れた2人の灯台守。元船乗りのベテラン灯台守と元木こりで新任の男は赴任当初からそりが合わず、険悪な中で4週間の施設管理をして過ごす。やがて島は嵐に見舞われ、彼らは次第に狂気の歯車に飲み込まれていく。
数々の神話的モチーフとクトゥルフ的構造、性と暴力、何が現実で何が妄想なのか、どこからがはじまりなのかも分からない物語の構成は他に類を見ない。圧倒的な画面の絵力と音響は映画館で体感するべき傑作だ。
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『ミザリー』(1990・アメリカ)
監督:ロブ・ライナー(『恋人たちの予感』『スタンドバイミー』)
脚本:ウィリアム・ゴールドマン(『明日に向かって撃て』『目撃』)
原作:スティーブン・キング
出演:ジェームズ・カーン、キャシー・ベイツ、リチャード・ファーンズワース
大衆作家として人気を博すポール・シェルダンだったが、彼自身は代表作『ミザリー』シリーズに見切りをつけて作家としての方向転換を模索していた。山荘に籠ってシリーズの完結編を書き上げ、帰ろうとすると吹雪に見舞われて交通事故に遭う。大雪の中、ポールは車内で意識を失い、両足の骨が砕けて動けなくなっていたところを奇跡的に救出し、看病したのが元看護士のアニーである。彼女は『ミザリー』の“一番のファン”であり、彼を救うことができたのは神の思し召しだと喜んでいたが、“完結編”の原稿を目にしてその飽くなきミザリー愛に火がついてしまう。
なんか最近本気で恋してないな…しばらく一緒にいるけど倦怠期かな…とお悩みの方は、ヤンデレ系ハンマー女子・アニー・ウィルクスの熱狂的な愛のかたちを見て、私生活にも応用してみましょう(ダメ絶対!)。日本の俳優さんならアニー役に渡辺えりさんとかハマりそうだなーとか思いました。
多分きっと追記すると思いますがとりあえずここまで。
みなさんの好きな作品、気になる作品、見返したい作品が1本でも見つかれば幸いです。