映画『告白』感想

冒頭から、
終始圧巻である。

映画監督・中島哲也
どういうサイクルでその映像や緊張感(『間』というもの)が生みだされているのか。この人は、「見る者に刺激を与える」という映像作家の属性を極めており、我々が映画というフォーマットにおいて体験しうる心の振幅の尺度を益々拡大せしめようと果敢に挑んでくる。
一冊の小説はもうひとつの別の人生を追体験することができる、と昔の人は言ったか言わなかったかは個々人で検索していただくとして、
人々が背負った業や情念といった理不尽なものや、不可解でありながら不可避な状況を現出してみせる描写力に長けている。
これは少年法問題や命の重さについて、あるいは復讐というテーマを扱った作品ではあるが、それはひとつの手段でしかない(原作は未読)。やはり本作の底辺には、人生は各人に固有のものであり、それぞれの事象の意味はその人にとっての意味しかもちえない、語弊はあるかもしれないが「人と人とは分かりあえない」という同時代的な問題としての“境界性”が浮き上がってくる。
分かりあえないと分かりきっていても、分かち合うことを強要されるのが生きるということの一側面かもしれない。
予備知識は耳目にないが、これほどまでに素晴らしいエンターテイナメント映画は世界でも類を見ないのではないか。