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貝屋(創作)

「この辺りでどこか面白い場所をご存知ですか」 一人旅が好きなHさんは、よく旅先で現地の人にそうやって尋ねるのだそうです。大抵は知られた観光地か「何もない」と返ってくるそうですが、ごく稀に“アタリ”を引くこともあるそうで。観光情報には出てこない…

おっぱい岩(創作)

「この辺りでどこか面白い場所をご存知ですか」 一人旅が好きなHさんは、旅先で出会った人にそうやってよく尋ねるのだそうです。まぁ大抵は知られた観光地か「何もない」という返事だそうですが、ごく稀に“アタリ”を引くこともあるそうで。地元人しか訪れな…

廃村(創作)

「この辺りでどこか面白い場所をご存知ですか」 一人旅が好きなHさんは、よく旅先で現地の人にそうやって尋ねるのだそうです。まぁ大抵は知られた観光地か「何もない」と返ってくるそうですが、ごく稀に“アタリ”を引くこともあるそうで。観光情報には出てこ…

創作 フクロノカミ

大学時代、友人から聞いた話。 彼が生まれ育った中部の田舎町では、“フクロノカミ”と呼ばれる都市伝説があった。 フクロノカミは少し離れた場所に現れる。空き家やつぶれた店舗、河原の向こう岸、誰も使わなくなった電話ボックス、山の木々の隙間といった日…

創作 匂いの素

帰宅したNさんがマンション自室の戸を開けた瞬間、中からただならぬ臭気を感じた。思わず鼻を手で覆い、顔を歪めて仰け反る。腐敗臭のような、しかし生ゴミのそれよりももっと強烈で嫌な匂い。今朝出掛ける前にこんな匂いはしなかった。 とりあえず部屋に荷…

空気バス(創作)

バス運転士Aさんのはなし。その地域は車がないと仕事や生活ができないといわれる車社会。そのため朝は多少混雑するが、昼間の利用者は老人と学生くらい、路線や時刻で乗客数がガラッと変わる。タイミングによって乗客ゼロということもよくあるそうだが、サボ…

祟りにまつわるエトセトラ

かつて人気を博したABCラジオの番組『北野誠のサイキック青年団』(1988.4.~2009.3)で、お盆時期恒例の人気企画として真夏の怪談特集があった。 パーソナリティの北野誠氏とレギュラー竹内義和氏、ゲストに怪談蒐集家の中山市朗氏を迎え、リスナーの投稿から…

創作 すれちがい (学校の怪談)

ある雨の日、用事があって朝早くに登校してきた生徒。 ふと校舎の方を見上げると、渡り廊下で男性教諭と女生徒が歩く姿があった。こんな時間でももう来てる人がいるのか、と思いながら昇降口へ。だが扉は施錠してあって中に入れない。どこか開いている場所が…

創作 冬に登らない理由 (不思議な話)

Yさんは登山が趣味で、若い頃から全国各地の名山巡りは言うに及ばず、地域の山道保全やボランティアガイドなども務める、いうなれば“山のベテラン”だ。 だが十数年前に体験したある出来事をきっかけに、冬山には登らなくなってしまったそうだ。 *** 紅葉…

ホットアンドコールド(創作)

Hさんが地方の大学に通っていたころの話。 高校時代に自動車免許を取得していたこともあって、大学入学後バイトに勤しみ、念願だった中古の四駆を手に入れた。週末はバイトで埋まっていたが、平日の夜はよく仲間と繰り出して、ドライブナンパを楽しんでいた…

創作 Not found

「あのねぇ、軍手とね、あと殺虫スプレーの場所を教えてほしいんだけど」 と常連の老婆。 「はい、ご案内しますね」 私は酒井さんとレジ担当を交代してもらい、小慣れた素振りで老婆を所望の品物までエスコートする。 「ああ、ここにあったの。いっくら探し…

創作 文集

小さい頃、近所にSさんという同級生の女子がいた。 物静かでどこか冷たい感じがする美人だった。通学班で一緒になったり、同じクラスになったこともあったが、ほとんど会話をしたことがなかった。 中学に上がると、Sさんはひどい肌荒れに悩まされた。そのせ…

創作 霧 (不思議な話)

Sが目を覚ますと、時計は4時。 最近疲れていたせいか早い時間に寝落ちしていたらしく、休日だというのに妙に早起きしてしまった。 明るいな、と思ってカーテンを開くと外は霧に覆われている。 家人を起こさないようにSが静かに顔を洗っていると、足元で飼い…

田園(創作)

日が傾いて涼しくなったので、田園地帯の用水路へ釣りに出た。 すると見知らぬ婆さんに声を掛けられた。「ここは車も通らないから静かだべ」 現役の農婦といった風情でもないが、地元の方なのだろう。 何とはなしに話に付き合うことにした。「子どもの頃は夕…

黒猫(創作)

或る晩、黒猫を見たのだ。たしかに黒猫を見た。 おいで、と手を差しやると、瞬間パッとのけ反ったように見えたが、意図を組んだのか、近うに来てすりすりと頬擦りを始めた。 月か、琥珀のよな色した円い眼を、心地よさげに細めるのだ。愛らしな、と呟くと、…

学校の怪談 上履き

友達のRとケンカになって、昼休みにRが外で遊んでいる隙にうわばきを隠したことがあった。 下駄箱の、だれも使っていない下の方に放り込んでやった。教室に戻ろうとしたらRのやつ慌てるに違いない。 昼休みが終わるのを教室で待ちわびていたら、Rのやつ時間…

出会い系(創作)

中3の夏、大学生のM君から、2人×2人で海に行かないかと誘われた。 地元は海から結構遠いので、多分深夜か、泊まりになる。 多分、そういうことなんだろう。 以前にM君とも遊んだことのあるYちゃんに話をした。 夜遅いと親に心配かけるし、泊まりの方がマシ、…

大ちゃんは仕方ない(創作)

ひとことでいえば、大ちゃんは少し“変わった子”でした。 授業中、ノートを書くことはおろか先生の話も聞かず、他の子にちょっかいを出したり、出歩いたり。 3年生だというのに自分の思い通りにならないと急に泣き出したりして、いつも授業や遊びをストップ…

動く死体(創作)

街の“便利屋さん”をやってた友人から聞いた話。 「便利屋」は、蜂の巣を退治してほしいとか、ドブ掃除を頼みたいとか、エアコンを急ぎで取り付けてほしいとか、自分じゃできない困りごとや人が面倒くさがる仕事、はたまた誰に頼めばよいのか分からないような…

夜のダム湖(創作)

夜のダム湖、釣り場であった怖い話。 とある山間にあるダム湖は、良型のヘラブナやブラックバスが釣れるスポットとして知られ、週末にもなると釣り人たちで賑わいを見せる。 湖は、深い森に囲まれており、山鳥たちが囀り、山ならではの野趣が味わえる。 車が…

学校の怪談 -残業-

ある学校の先生をやっているMから聞いた不思議な話。 ある日、職員室で一人で残業していると、メールの着信があった。 卒業生のAからだった。 》「先生、今学校ですか?」 学校の近所に住む優等生で、卒業後も部活や職員室にたまに顔を見せるいい生徒だ。 以…

浦島太郎について

昔話というと、勧善懲悪だったり、善いことをすれば善い報いを、悪行をした者には悪い報いがある教訓話と相場が決まっている。という固定観念がある。そこいくと、浦島太郎のエンディングって、なんで亀を助けた太郎が罰を受けるんや(乙姫鬼畜かよ)。。。…

足売り婆

放課後、ひと気のない田畑のそばを通っていると、足売りばばあが出るんだって。 遠目には、フツーの農家の婆さんとそんなに変わらない。 麦わら帽や頭巾を深く被って、日に焼けた野良着を着て、背中に大きな籠を背負って道端に腰かけている。子どもが何も知…

栞(しおり)

その頃、私は図書室で本を借りて帰るのが日課になっていました。 ある日、いつものように何気なくページをめくると、 「こんにちは」 と書かれた紙切れが挟まっていました。 また何日かして別の本を読んでいると、 「こんにちは、この前の読んでくれましたか…

息子(創作)

夜中、私がいよいよ眠りに落ちようかというタイミングで、いつも息子と目が合うのです。 息子は先に寝かしつけて、しばらくしてから私も布団に入ります。 目を閉じ、少し経って、不意に目を開けてみると、息子が私の顔を覗き込んでいるのです。 「どうしたの…

学校の怪談 -残業-

ある学校の先生をやっているMから聞いた不思議な話。 ある日、職員室で一人で残業していると、メールの着信があった。 卒業生のAからだった。 》「先生、今学校ですか?」 学校の近所に住む優等生で、卒業後も部活や職員室にたまに顔を見せるいい生徒だ。 以…

赤い服の女

家族で街に買い物に出たときのことです。 ひととおり買い物も終わって、帰りの駅へと向かう途中でした。 週末ということもあって、買い物に来た家族連れやカップル、大声ではしゃぐ学生のグループなど、大勢のひとで賑わっています。 大通りの交差点で、信号…

2009年9月、ネット上にある動画が投稿された。投稿者は“909haze”、動画タイトルは“creepy”(不気味)。 以下の4パートから構成されており、それぞれが数十秒、全編で3分4秒の短い動画である。?昼間の公園のような場所で、自慰する男性の局部を接写した様子、…

でられない

(だれかヒマなやつ、いないかなぁ) 学校、神社、日の出屋、カッパ池、春につくった秘密基地・・・ 自転車に乗って、思いつくまま巡り巡るも、その日は友達がひとっこ一人見当たりませんでした。 (みんなどこか出掛けちゃってるのかな・・・) すでに夕日…

姉のこと

3つ年上の姉がいて、小さい頃はずっと後をついて遊びに入れてもらっていた。 邪魔くさがるようなこともなく、私のわがままで泣いたことはあっても姉に泣かされたという記憶もない、子どもの頃から“デキた姉”だった。 朗らかで活発、男女を問わず友達に恵まれ…